冥王星を取り戻せ

見える限りの遠くの向こう

ちょっとした失踪の連続


俺は今度は失踪を口説き文句にしようと思うんだよ。

世の中にはいろいろと二つに分けたがる方法がありますね。
今回は「よいもの」と「ダメなもの」で分けます。
前の職場はダメなものでした。
確認してまいりました。
いろんなものがいっぺんに来て、ダメでした。

(本当に、本当に辛かった。)

(俺は何一つ悪く無いはずだって今でも胸を張って言えるのにな。)


なんでわざわざ確認しに行ったかというと、単に道のりのついでだったからです。
(あと、本当にダメかどうかを確かめたかった。)

ちょっとした失踪の道のりのちょっと先に前の職場があったので、それで確認しに行った。
それだけ。

さて、ちょっとした失踪。
失踪の意味を見よう。

行方がわからなくなること。また、姿をくらますこと。失跡。
三省堂大辞林より。

ねえ、これ、ねえ。
無職の毎日のお出かけ、行き先さえ誰にも言わなきゃ失踪なんじゃないの?
ちょっとした失踪の連続なんじゃないの?
それどころか職があるあなたがたのお休みのお出かけも、黙秘を貫けばちょっとした失踪って言えるんじゃないの?

自分一人だけの行くアテがあるのかないのか、なんにせよ胸に抱え込んで、さぁさ一歩を踏み出しましょう。

これであなたも立派な失踪者じゃありませんか。

語義を確認するということは時々本当に大事になります。
今回のそれがそれです。それがそれです。ですね?

大事になりました。改めて確認することの大切さです。


失踪はよいものとダメなもので分けるとどっちでしょう。
多分本当はダメなものなんでしょうけど、だからそれがゆえによいものです、少なくともいまここでは。
よいもの箱に入れましょう。
よいもの箱に入れたよいものは時々抱え上げて光に透かしてみたりなんかするといい匂いがして落ち着きますよ、やってご覧なさい。
多分そんな感じのが薄呆けた愛の一つの形でもありますよ。

さて失踪。
一泊でも日をまたぐと本格的な失踪になりそうな語義の在りようです。
じゃあとりあえず日帰りな分をちょっとした失踪にカテゴライズしときましょうね。
立ち飲み屋でいっぱいひっかけるみたいな感じでね。
飲んでるうちに入らないってー、こんなのー、みたいな感じで、でもちゃんと飲んでるってあれだ。
それの失踪の場合を日帰りの失踪に設定しよう。

そして失踪とはひとりぼっちの独占物かと言うとそんなことはないんだ。
誰かと二人でする失踪もあるだろう。あっただろう。あるはずだ。
だから僕とあなたで、誰にも行き先を告げずに、SNSにも終ぞ動向を載せずに、二人だけの完璧な失踪をやり遂げることができる。
これはとても素敵じゃないですか。
よいもの箱に入れましょう。二人だけの完璧な失踪。
よいもの箱に入れたよいものは時々霧吹きで薄く水を吹いてやると小刻みに震えて気持ちよさそうにしてくれますよ、どうぞやってご覧なさい。
怖がることはなにひとつありません。
全てが、完全に、満ち足りている日の午後の話です。

冒頭を繰り返す。

俺は今度は失踪を口説き文句にしようと思うんだよ。

だれか俺と二人で失踪しないか。
短くて、満ち足りた、道に迷ったりもするけど美味しいものを食べたりもする、そんな失踪。

失踪は誰の前にも開かれて在る。
みんなも失踪しよう。
笑える失踪を重ねることで、笑えない失踪を回避しよう。
大概の物事の大小の関わり方ってのはそういう具合に上手くハマってんだ。